以前こんな記事を書きました。
快適な家を実現するための指標としてQ値やC値、UA値といった数値があります。
家の断熱性能や気密性能を数値化して評価できるとっても便利なものなんですが、家を建てる前って正直こうも思っていました。
UA値やC値がどの位だったら自分にとって快適な家になるんでしょう??
一般的にUA値については、国などが定めた以下の基準を満たすことをベースに考えていけばそれなりの家は建ちます。
・次世代省エネ基準
・ZEH
・HEAT20
しかしどの基準を目指せばいいのか?
どの値だったらどのぐらい住みやすくなるのか?
こういった体感の部分については、いくら数字を見たところで結局よく分からないんですよね。
必要以上に高性能を追及してもオーバースペックにムダなコストをかけてしまうことになりますし、何も気にせず建てたのではとても過ごしにくい家が建つ可能性もあります。
そこで今回は、ZEH基準を目標にしてUA値0.55で家を建てた僕が
・その住み心地
・使用している冷暖房機器の紹介
・冷暖房機器の使用頻度や設定温度
などについて我が家での住み心地を紹介していきたいと思います。
この記事を読んで頂ければUA値0.55のZEH住宅で過ごす日常を詳しく把握することが出来るとともに、あなたが家を建てるときに目標とするべき値が見えてくるようになるハズです。
実際にその家に住んでみないと分からない体感。
UA値やC値の理論をこねくり回している人は多いですが、こういった細かい体感レポートを出している人は少ないんじゃないでしょうか。
大切なのは”数値それ自体”ではありません。
”どのぐらいの数値だったらどんな住み心地になるのか?”その体感の部分を知る事。
この記事には僕自身の”体感”がめいっぱい詰め込まれています。
ぜひ最後まで読んでいってくださいね!
それでは早速いきましょう!
UA値0.55のZEH仕様の家、その住み心地は?
まず初めに結論です。
細かい部分はあとから詳しく解説していきますが、まずは我が家の住み心地を簡潔にお伝えしておきたいと思います。
UA値0.55のZEH仕様の家は・・・
一年を通してとても住みやすく満足しています。
もちろん冷暖房をつけないと夏は暑いですし冬はそれなりに寒いです。
一年中春!とまではいかないですが、エアコンなどの冷暖房機器を使えばすぐに快適な温度になりますよー。
体感的には以前住んでいた賃貸の家と比べて、冷暖房を入れてから適温になるまでの時間が超早くなりました!
賃貸の時は”エアコンをフルパワーでつけっぱなし!”とかでしたが、現在のZEHの家は温度も風量も抑えたミニマム運転で十分冷えますし暖まります。
個人的には「夏涼しい」<「冬暖かい」といった感じですかね。
断熱性能がいいからでしょうか。
冬でも暖房つかわなくてもそれなりに過ごすことが出来ますよ。
特に、寝室については住み始めて3回冬を経験しましたが、なんと1回も暖房を使ったことがありません。
布団に入る前は「寒いなー」と思うんですが布団に入るとすぐ暖かくなって快適に眠れるぐらい。
以前住んでいた家は寝室がキンキンに冷えていて「一晩中暖房+湯たんぽ」でも寒かったぐらいですからね。。。
この違いは正直驚きましたー。
とはいえ、住んでいる地域や、暑がり/寒がりといった個人の感じ方によっても変わってくるので、
もうちょっと詳細な条件を箇条書きでまとめておきますね。
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・我が家はZEH仕様の住宅
・UA値は0.55(Q値1.84程度※)
・C値は不明(未測定のため)
・第三種換気
・地域は省エネ基準地域区分の5、6地域
・割と温暖な地域、雪が降るのは年に数回
・とにかく明るい家にしたかったのでLDKの窓は大きめ
・僕はかなりの寒がり
(周りの人が平気でもブルブル震えるぐらいの)
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※Q値は変換式UA=0.37Q-0.13により算出。
それではここから先は冷暖房機器の詳細やその使用頻度などについて紹介していきましょう!
使用している冷暖房機器、設定温度は
ここでは我が家で使用している冷暖房機器の全てを紹介したいと思います。
使用している冷暖房機器は以下の通り。
【1階】
・LDKに26畳用の高効率エアコン×1
・LDKに石油ファンヒーター×1(冬のみ)
・LDKに扇風機×1(春~夏のみ)
・トイレに小型のセラミックヒーター×1(冬のみ)
【2階】
・寝室、洋室に6~10畳用のエアコン×1
・寝室に扇風機×1(夏のみ)
・書斎にダイソンのホットクール×1
以下に表と設置個所をまとめてみました。
LDKのエアコンと書斎用のダイソンホットクールのみを新築にあわせて新規購入。
残りのものは以前賃貸物件に住んでいた時に使っていたものをそのまま持ってきました。
温度設定は基本的に
冷房:27℃
暖房:24℃
で統一しています。
温度を変更することはほとんどありません。
LDKのエアコン使用頻度
我が家はLDKで過ごすことが多いので、一番使用頻度が高いメインの空調機です。
夏の暑い日は、部屋にいるときは昼も夜もほぼ毎日使っています。
冬はエアコンと石油ファンヒーターを気分で使い分けています。
朝一や深夜など、一気に暖まりたいときはファンヒーターを使って、それ以外の温度維持に関してはエアコンを使うといった感じで使用しています。
風量は常に微風(一番弱くしています)
真夏の暑い部屋を急速に冷やしたい時だけ、冷えるまで時々風量UPして使用しています。
使っているのは26畳用のエアコンですが、1F空間のほとんど(約35帖)をエアコン1台でカバーできていますよー。
休日などで一日中家にいる場合なんかは、階段部分のドアを開けっぱなしにしておけば冷暖房のカバー範囲を2Fにまで広げることも可能です。
さすがに2Fは効きが少し弱いですが、1FLDKの高効率エアコンだけで”なんちゃって全館空調風”の運用をすることも可能です。
住み始めるまでは26畳用エアコンでは能力不足かもとか思っていましたが。。。
恐るべしZEH住宅ですねぇ~
LDKの石油ファンヒーター使用頻度
我が家で唯一の燃料を使った暖房機器です。
新居に住み始めた最初の冬は、以前住んでいた家との暖かさのギャップに驚いてエアコンのみで過ごしていましたが、2年目からエアコンの暖房だけでは少し物足りなさを感じるようになって倉庫から引っ張り出してきました。
室温的にはエアコンだけでも十分暖かいはずなんですが・・・
慣れって怖いですね・・・
やはり燃料系の暖房は立ち上がりが早い!
体感としてエアコンの暖房より暖かく感じるんですよねぇ。
この石油ファンヒーターは、主にエアコンでは寒いなーと思う日や、真冬の朝一や深夜なんかに使っています。
冬のワンシーズンで灯油タンク1つ分(20リットル程度)を使い切るかどうか、といったところです。
LDKの扇風機使用頻度
扇風機は暖かくなる春先から夏の終わりにかけて使用しています。
春秋は窓を開ければそれなりに涼しく快適に過ごせるんですが、どうしても扇風機が欲しくなるタイミングがあるんです。
それは・・・
ズバリお風呂上がり!!
僕は寒がりですが同時に暑がりでもあるので、お風呂あがりなんかもう体が火照って火照ってしょうがないんですよねー
そんなお風呂上がりのクールダウンに扇風機が重宝しています。
なので使用頻度はそんなに高くないですかね。
個人的にはもっとスタイリッシュなタワー型の扇風機が欲しいんですが。。。
あまり使わないものにお金をかける決断がなかなか出来ず今のところ昔から使っていたもので我慢しています。
この扇風機は
・部屋の温度を下げようとか
・風を循環させて冷房効率を上げようとかではなく
お風呂上りや食後に火照った体を冷やすためのスポット運用がほとんどです。
部屋を冷やすのはエアコンだけで十分ですね。
トイレのセラミックヒーター使用頻度
真冬にトイレに行く際、寒いなーと思った時に暖房をつけています。
風量は常に最弱
トイレは真冬ちょっと寒いと感じますが、寒がりの僕でもまぁ我慢できるぐらいです。
セラミックヒーターは賃貸物件に住んでいた時に使っていたものが余っていたので、「まぁ使おうかな」って感じで設置しています。
ちなみに奥さんは1回も使ったことがないんだそう。。。
なくてもいいけど有ればうれしいかな、っていうレベルですね。
寝室のエアコン使用頻度
寝室のエアコンの用途は以下の2つです。
・夏、寝るときのために寝室を冷やしておく
・夏、書斎で過ごすときの冷房
夏はほぼ毎日お風呂上りに冷房をONして1~2時間程度放置し、寝る前に消しています。
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※※2020年8月追記※※
今年の夏は暑すぎてムリ!
寝る前に冷房を消すと夜中に暑くて目が覚めます・・・
明け方まで冷房をつけて寝るようになりました。
ただ、夏のうすい布団だと27℃設定の風量最弱でも寒すぎ・・・
冬用の分厚い布団で寝ています。
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また、夏に書斎で過ごすときには隣の寝室の冷房をONしています。
というのも、寝室のエアコン1台で2Fのすべての空間がそこそこ冷えるんです。
悩んだけど書斎にはエアコンつけてないんですよね。。。
ちなみに冬は寝室のエアコンを1回も使ったことがありません。
真冬でも寝室の暖房を全く使わず普通に寝れる。
コレって結構すごくないですか?
しかもウチのベッドはシモンズのマットレスなので敷き毛布は使っていません。
真冬でも下側(敷き布団側)はシーツ1枚なんですが全然イケますよー。
奥さんは着る毛布を着たまま寝たりしていますが、僕は真冬でも長袖のジャージかパジャマで寝ています。
布団に入るまではちょっと寒いなあと思いますが、5分もすればポカポカになってぐっすり眠れますよー。
掛け毛布にニトリのNウォームを使っているのも大きいかもしれませんね(笑)
洋室のエアコン使用頻度
ここは・・・まだ子供が小さいのでほとんど使っていません(笑)
お客さんが泊まりに来たときとか、真夏の日中に洋室で遊ぶときに使用する程度です。
子供が大きくなって部屋で過ごすようになればもっと使うかもしれないですが、今の時点ではほぼ必要性を感じていません。
賃貸の時に使っていたのがあったのでノリで移設しましたが、まだつけなくてもよかったかもしれないですね・・・
寝室の扇風機使用頻度
寝室の扇風機は夏場だけ使用しています。
お風呂のあとにエアコンで寝室を冷やしておいて、寝るときにエアコンを消して扇風機をつけて寝るといった感じです。
書斎のダイソンホットクール使用頻度
書斎に置いているダイソンのホットクールは真冬の暖房機能だけ使っています。
机の下に置いているので、部屋全体を暖めるというよりは足元をスポット的に暖める目的で使用しています。
着る毛布やブランケットと併用して、つけたり消したりしながら適温に調整しています。
結局、3畳程度の部屋なのでしばらく動かしておけば部屋全体が暖まるんですけどね(笑)
夏場はどうしても書斎が暑いので、冷房用にエアコンを設置するか迷ったんですが、今のところ扉を開けて寝室のエアコンを動かせば十分涼しくなるのでそちらで対応しています。
まとめ
今回は「ZEH住宅はどのぐらい住みやすいのか?」と題して、UA値0.55のZEH住宅に住んでみての住み心地をお伝えしてきました。
UA値0.55のZEH仕様の家は一年を通してとても住みやすく満足しています。
もちろん冷暖房をつけないと夏は暑いですし冬はそれなりに寒いですが。。。
程よく四季を感じることのできる、でもエアコン一つですぐ快適温度になるいい”あんばい”だと思っています。
結局は、どれだけUA値やC値を高めて高断熱高気密の家を建てようとも、冷暖房機器を全く使わないとそれなりに暑いし寒いと思います。
・「UA値やC値の性能を追い求めると夏涼しく冬暖かい家が建つ」というのは少しニュアンスが違くて。
・「UA値やC値の性能を追い求めると冷暖房効率のいい家が建つ」と思った方がしっくりくるでしょう。
また、最近の住宅は「夏の涼しさ」よりも「冬の暖かさ」が際立っています。
寒がりのくせに寝室の暖房機能を1回も使ったことが無い僕が言うので間違いありません!!
夏究極に涼しく、冬究極に暖かい家を作ろうと思えば大きな窓のない家を作ればいいですがその分家の中はどんよりと暗くなります。
せっかく注文住宅を建てるんですから、やっぱり大きな窓のついた明るい家って憧れますよね。
大きな窓をつけて明るい陽光が差し込む家は注文住宅ならではの醍醐味でもあります。
寒冷地か温暖な地域かによっても、求められる性能や作り方も変わってくるでしょう。
大切なのはバランス。
・冷暖房は使う。
・使うんだけどそのエネルギー消費を最小限に抑える。
・効率を上げて少ないエネルギーですぐ冷える、すぐ暖まる家を作る
こういった考えが大切なんじゃないかなーと思います。
パッシブデザインなんていう考え方もあります。
参考にしてみて下さい。
UA値0.55は数値で見れば、まぁギリギリZEH基準を満たせるぐらいの値なので、それなりの値です。
最近の「ちょっと断熱に気をつかった普通の住宅」といったところだと思います。
それでも日常にストレスはほとんどなく十分満足する快適性能です。
もちろん真夏の日中は暑いと思いますし、真冬の夜は寒いとも思います。
ZEH基準でこの体感なので、個人的には一つ下の次世代省エネ基準では少々役不足かなぁとも思います。
最低でもZEH基準のUA値ぐらいは確保しておきたいですね!
予算に余裕がある方は、3重窓を採用するなどすればもうちょっと快適指数の高い家を建てることが出来るでしょう。
個人的にはZEH基準をベースに考えながら、出来れば費用と相談してHEAT20基準を目指すって感じがいいんじゃないかなーと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます!!
色んな方のリアルな体験談が読めておもしろいので、ぜひ覗いてみてください。