2019年問題を考える。卒FITしたら蓄電池を導入したほうが良いか検討してみた。

ソーラー関係

自宅に太陽光発電を設置して売電収入を得ている人にとって、2019年は注目すべき年と言えます。
これまで破格とも言える高い単価で電気を買い取ってくれていたFIT制度(固定価格買取制度)について、最初の年に参加した人たちの契約が初めて満了を迎える年になるからです。

これらは2019年問題とか卒FITとか呼ばれ、ちょっとだけ世間を騒がせていますよね。
何もしないとこれまでの売電収入が激減してしまうので、卒FIT対象の人々は今後の太陽光発電設備の活用について様々な検討を行われていることと思います。

今回は今年卒FITする人々、また来年以降に卒FITを予定されている人たちに向けて、家庭用蓄電池を導入した方が良いかどうか、また家庭用蓄電池以外で良いものがないかどうか、家庭で発電したエネルギーの活用方法についてその可能性を検討してみたいと思います。

それではいきましょう!

まず始めに結論からお伝えしましょう!
卒FITに際し、

「家庭用蓄電池は無いよりはあった方がいいが、まだまだ高すぎるので今は買うべきではない。」
と言うのが僕の意見です。

と言うのも、一般家庭における一日の使用電力の大半をまかなおうと思えばどうしても10kWhぐらいの容量の蓄電池が必要になります。

ゆうに200~300万円の初期投資が必要になる設備にもかかわらず、元を取るためには20年とかかかるという、何のために買うのかすら分からなくなるぐらいお金の面で見て厳しいのが現状の蓄電池業界です。

お金じゃないんだ!
災害時とかの安心が欲しいんだ!
という方は導入しても良いと思いますが、蓄電池で儲けようという考えの人は間違いなく導入しないほうが良いと思います。

それではここから先は、僕が蓄電池を今買うべきでは無いと考える理由について詳しく見ていきましょう!

蓄電池の活用方法には2種類ある

蓄電池の活用方法の考え方には大きく分けて以下の2種類があります。
①昼間発電した電気をためて夜間に使う
②安い深夜電力で充電して昼間に使う

蓄電池は使い方を間違えると投資金額を回収するまでの期間が恐ろしく長くなります。
この考え方を理解すれば蓄電池をいつ導入するのが良いのか、その条件の1つが見えてきます。
ここではこの2つの活用方法の経済効果の違いについて見ていきましょう。

活用方法①の場合
昼間に太陽光が発電した電気を蓄電池に貯めておいて使用すれば、蓄電池が空になるまでは電気を買わなくて良くなります。
卒FITした人達は発電した電気を売るより使う方が断然お得なので、こちらの活用方法になるでしょう。

あなたの家庭で1日に消費する電気を全てまかなえる容量の蓄電池を導入していれば、基本的に電気を買わなくて良くなるので現在払っている電気代相当が毎月浮きます。
払っている電気代の単価は各家庭によって違うと思いますが、多めに見て30円/kWhといったところでしょう。

つまり活用方法①の場合は電気使用量1kWhあたり30円程度の経済効果が生まれることになります。

活用方法②の場合
まだ卒FITしていない、固定価格買取期間が残っている人が蓄電池を導入する場合は、発電した電気を使わずにできるだけ多く売った方がおトクなので②の使い方をするようになります。
安い深夜電力で蓄電池を充電しておき、昼間~夜間に貯めておいた電気を使用することで料金の高い時間帯の電気を買わなくても良くなります。

しかし②の使い方では①の場合に比べて経済効果が低くなる(儲からない)といったデメリットが存在します。

深夜電力が安いとはいえ、電気を買うことに違いはありません。
②の使い方をした場合の経済効果は(昼間電力の単価)-(深夜電力の単価)となりますので、1kWhあたり大体15円といったところでしょう。
※昼間電力の単価30円、深夜電力の単価15円とした場合。

このように活用方法①と②では経済効果が倍半分ほども変わってきます。
活用方法①では投資回収に10年かかるとした場合、活用方法②では20年ぐらいかかる感覚ですね。

細かい条件はご家庭によって違うと思いますので、ぜひあなたのご家庭の条件でも計算してみてください。

まとめると、蓄電池を導入するのは卒FITしてからの方がお得でしょう!
固定価格買取期間中は売った方がお得なので、卒FITしていないのに蓄電池を買っちゃってる人はちょっと損してるかもしれないですよ!

蓄電池で元が取れるのか検討してみる

ここでは卒FITした後に蓄電池を導入したとして、何年ぐらいで元が取れるのか計算してみたいと思います。
今回の計算条件はかなり甘めに設定してみました。
これで元が取れなければ、日本中ほとんどのご家庭で元が取れることはないでしょう。

我が家の場合1か月で大体300~500kWhの電気を消費しています。
年間を通じて月400kWhぐらい電気を使っていることになるので、1日当たりの使用量は400/30=13kWh程度。

やはり家庭で消費する電気をすべて賄おうと思えば10kWh以上の蓄電池システムを導入することが必須になります。
で、僕がこないだもらった見積もり実績金額からも、蓄電池のkW当たりの単価は25万円程度なので、13kWhのシステムを導入するためには大体325万円ぐらいの費用がかかります。

では、この325万円の導入コストを回収することができるのかどうか見ていきましょう。
前提条件は以下の通りです。

トモクラ
トモクラ

①蓄電池を導入することで電気を一切買わなくなるYo!

蓄電池を導入するからには、とにかく電力会社から電気を買わないのが一番お得です。
自分の家で作った電気はタダなので、外から電気を買わずに自家発電→消費ですべて完結できるのが理想と言えます。
曇りや雨でソーラーが発電せずに蓄電池に電気をためることができない場合は電力会社から高い電気を買うことになりますが、今回の計算では一年中快晴で蓄電池がフル充電できると仮定してみましょう(笑)

トモクラ
トモクラ

②これまで買っていた電気の単価は30円/1kWhだYo!

電気料金は各社が様々な料金プランを設定しています。
基本的に深夜の電気代が安く(15~20円)、夕方から夜間の電気代が高い(25~30円)といった感じでしょう。
皆さん安い深夜電力をうまく活用しながら電気料金を抑えられていると思いますが、ここでは業界高値の30円に設定して計算してみたいと思います。

我が家で一日に買っている電気は平均すると13kWh。
単価30円/kWhとすると13×30=390円。

一か月の電気代は390円×30日=11,700円という事になります。
蓄電池を導入することで年間11,700円×12か月=140,400円の電気代が要らなくなる計算です。

年間約14万円なので、導入費用の325万円を回収するには
325/14=23.214・・・

トモクラ
トモクラ

お、おう。。。何と23年もかかる計算になります。。。

これでもか!というぐらい甘い条件で計算しているにも関わらず、です。

仮にすっごいタイミングが良くて100万円値引きしてくれて325-100=225万で買うことができたとしても、投資回収に16年以上かかります。
どう考えても割に合わない投資と言えるでしょう。

僕的には家庭用蓄電池は今後値段がどんどん安くなると予想しているので、今は買い時ではないと思います。

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電気自動車を蓄電池として使う選択肢もある

ここまでお伝えしてきたように家庭用の蓄電池はまだまだ金額が高すぎて、そう易々と買える代物ではありません。
最後に、卒FITにより一刻も早く蓄電池を導入したいという人向けにおもしろい案をご紹介して終わりたいと思います。

家に設置するタイプの”定置用”蓄電池はボッタくりかと思うぐらい値段が高い今の日本市場。
ちょっと発想を変えてみることで新たな世界観が見えてきます。
それは、

「電気自動車を蓄電池として使う」
という方法。

移動手段として売られている自動車を蓄電池として使うんです。

蓄電池ってようはバッテリー。
電気をためられればOK。
そういう意味では定置用だろうが電気自動車だろうが用途は同じってわけです。

これ、意外とアリだなーと僕は思いました。

では電気自動車ってどのぐらいの容量の蓄電池を積んでいるんでしょう?

日産リーフ(現行モデル)の場合、62kWhのモデルと40kWhのモデルがあるようです。
日産のHPで定価を調べたところ、
・40kWhモデルで330~400万(8万強/kWh)
・62kWhモデルだと420~450万(7万強/kWh)

どうです?kWhあたりの単価を見たら定置用に比べて格段に安いですよね!
しかも容量の小さい40kWhモデルでも家庭用としてみると十分な容量です。

あと、電気自動車を家に接続するための専用のV2H機器という物が必要になります。
これはニチコンが39万8千円と低価格なものを2019年6月に発売していますね。
工事費等も入れると大体50~100万円ぐらいが相場でしょうか。

この40kWhのモデルを新車で買ったとしても導入費用は380万円~500万円。
KWh当たりの単価でみると9.5~12.5万円ぐらいになります。

しかも車はリセールバリューがかなり悪いので、リーフの中古車を買えばさらに安い価格で導入可能です。
参考に2019年11月のリーフ(40kWh)モデルの中古車市場価格を調べてみたところ、200~250万ぐらい出せばそこそこ程度の良い車体が手に入りそうです。

中古車を視野に入れるとKWh当たりの単価6~9万円ぐらいで蓄電池を導入することが可能!
地方都市や田舎にお住まいの方で駐車スペースに余裕があるのなら、いっそ車として登録せずに「車の形をした蓄電池兼物置」として庭先に置いておくのはどうでしょうか(笑)
車は登録しなければ(既に登録してあっても簡単な手続きで一時抹消できます)維持費がゼロなので、思い切って蓄電池として使ってみるのも良いかもしれませんね!

まとめ

今回は「2019年問題を考える」と題して、卒FITしたら蓄電池を導入したほうが良いかについて検討してきました。

家庭用蓄電池は無いよりはあった方がいいですが、まだまだ高すぎるので今は買うべきではない!というのが僕なりに検討してみた結論でした。

最後に要点をまとめておきましょう!
・家庭用の蓄電池はとっても高い
・絶対元は取れない!
・お金以外の「安心」とかを買うのであればOK
・家庭用蓄電池を入れるぐらいなら電気自動車のほうがコスパがいい
・今後の新製品に期待!

といったところでしょうか。

そもそも買取価格が下がるといっても0円になるわけではありません。
「今まであり得ないぐらい優遇されていたものが元に戻るだけ」と考えればそう急いで蓄電池を買う必要も無いんじゃないかとも思います。

固定価格買取期間が終了して卒FITするということは、あなたの家の太陽光発電の設備は少なくとも10年は稼働しているという事になります。
今後パワコンの故障なども発生するでしょうし、蓄電池に大きなお金をかけるよりも現状のまま低い単価でも電気を売電して太陽光発電システムの故障に備えつつ、蓄電池関連製品の今後の動向を注視していくのが最善じゃないかなーと思います。

2020年度は蓄電池業界にとって面白い年になりそうです。
個人的には今後の動向が非常に楽しみな業界でもあります。

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トモクラ
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最後まで読んで頂きありがとうございます!!

色んな方のリアルな体験談が読めておもしろいので、ぜひ覗いてみてください。

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