お客さんに気を遣った間取りを考える?
・和室はリビングとは繋げずに、玄関から直接アプローチできるようにしようよ。
・トイレも玄関横がいいんじゃない?
家の間取りを考えている時、ついついこんな事を考えてしまっていないでしょうか?
実はこの考え、危険ですよ!
今回は、「お客さんに気を遣った間取り」について考えてみたいと思います。
そもそも誰のための家づくりか?
「家って、誰のために建てるものでしょう?」
こう問いかけられた時、両親のために家をプレゼントするとかっていう粋な人たちを除いてほとんどの人は、
「いや、自分達のためだよあたりまえじゃん!?」
と答えると思います。
そうですよね。
新しく建てた家に住むのはあなたと、あなたの家族です。
なので、
お客さんを気遣った間取りを考える必要は全くありません!!
改めて考えると迷う要素ゼロなんですが、実際間取りを考えてる時って、ついつい考える必要のない「お客さん」について気にしてしまう自分がいました。
やっぱり人間って見栄っ張りなんだな(特に男の人)と思った苦い記憶があります。
僕だけだったらどうしよう・・・(笑)
「いやいや!ソンナコトナイヨ、オキャクサン大事よ!!」
と言ってしまう家づくり初期のころの僕に似た人のために、詳しくみていきたいと思います。
お客さんって誰のことか?
「お客さんに気を遣った間取り」を考えるには「お客さんとは何か」をハッキリさせなければいけません。
ちょっと普段家にやってくる人たちを思い浮かべてみましょう。
身近なところでは、たまに泊まりに来る両親や仲の良い友人家族、親戚などがいます。
他には学校の担任の先生や、家を建てたメーカーの営業マンやアフターサービスの人達、
保険の営業マンなどが思い当たります。
滞在時間はそれぞれ違いますが、共通して言えるのは「他人である」という事。
両親を他人というには少し違和感があるかもしれませんが、ここでは
毎日の日常を一緒に過ごさない人=他人
と考えていく事にします。
お客さんを気遣った間取りってどういうものか?
お客さんの定義は「他人であること」がハッキリしました。
ではどんな間取りが「お客さんを気遣った間取り」なんでしょうか。
ここは逆転の発想で、皆さんが友達の家に泊まりに行ったパターンを考えてみると分かりやすいでしょう。
例えば、トイレがリビングの真横にあって話し声が聞こえるような状況だと、落ち着いてオナラもできないですよね。
夜客間でくつろいでいる時に、友達の奥さんがシャワーを浴びている音なんて聞こえて来た日には、もうドキドキしてたまらないなんか気を遣って嫌ですよね。
このように、家族以外の人にはなかなか見せない場面の気配を感じることが無い間取りが、理想的な間取りではないでしょうか。
ちょっと高級ホテルや旅館を思い浮かべてもらうと分かりやすいんですが。
・玄関と客室の間にちょっとした空間がある
・お風呂やトイレと客室の間には洗面室がある
・ロビーから客室までに渡り廊下などがある
といったように、要所要所に一見無駄な空間が配置されています。
この空間が音や気配を薄れさせ、落ち着ける快適な環境を演出しているのです。
お客さんを気遣った間取りとは、「空間のワンクッション」がキーワードになるんじゃないかと思います。
個人宅で考えた場合、メインで過ごす事になるLDKに対して、客間やトイレ、お風呂などをワンクッション挟んで配置するのが良いと思います。
基本的にお客さん目線で家を作るとものすごく無駄の多い贅沢で高い家が出来上がるのでオススメしませんが、具体的に間取りアイデアを考えてみましたので書いておきますね。
・和室を独立空間にする(家族の生活空間と分ける)
・トイレを玄関横に配置する
・玄関にサロン(談笑スペース)を設ける
・和室(客間)とお風呂・トイレが隣接しないようにする
・客間(風呂トイレ付き)を渡り廊下でつないで離れとして建築する
他人に優しい間取りは自分に優しいとは限らない
お客さんの事を気遣った「他人に優しい家」を建ててしまうと、日常生活でとてもストレスを感じるようになる危険性もあります。
お風呂やトイレへの空間のワンクッションは家族同士であってもありがたいですが、和室(客間)の場合は別です。
例えば、LDKから玄関を挟んで和室を配置したとしましょう。
和室単体で見ればとても落ち着いた独立空間です。
でもそんな和室で、落ち着いて家族で過ごす時間ってどのぐらいあるでしょうか?
現代のお父さんお母さんは多忙です。
仕事をしながら家事と育児、平日はどこの家庭も目まぐるしく活動していると思います。
専業主婦のお母さんだって、子供と遊ぶ合間を縫って効率的に家事をやりたいでしょう。
そんな時、子供を1人和室に残してお母さんがキッチンに行ってしまったら。
きっと子供はさみしい気持ちになるでしょう。
お母さんも子供の姿が見えないので心配でしょう。
各人が忙しさに追われる現代の家づくりのポイントは気配を感じること。
何かをしていてもお互いの存在を確認し、「ながらコミュニケーション」を取れることが理想です。
そういう意味で和室は、生活の拠点となるLDKに隣接していることが好ましく、また多くの人に好まれている間取りでもあるのです。
空間のワンクッションを入れることでお客さんにとっては嬉しいかもしれませんが、その家に住む家族にとっては使いにくい家となるかもしれません。
お客さんはいつもいるわけじゃない
1年365日で、お客さんという他人が家にいる時間は果たしてどのぐらいあるでしょう?
おそらくそんなに多くはないと思います。
両親や友達が泊まりにくるといってもせいぜい年に数回でしょうし、それ以外の人の場合は長く居ても2~3時間です。
1年365日(8760時間)のうち、この数日、数十時間を気にした間取りを考えるのって違和感がありますよね。
たまにしか家にこない人のために間取りを考える必要はありません。
もちろん、それでもお金をかけてでも考えたいという人は止めませんが、メインはあくまで家族がどうありたいか。
これをベースに考えるべきだと思います。
まとめ
マイホームはあなたとあなたの家族のものです。
お客さんという他人に縛られた間取りを考えてしまうと、住みにくい家が出来上がる恐れがあります。
そもそも、お客さんはいつもあなたの家にいるわけではありません。
ほんのひと時の、他人の満足度を上げるためにあなたの毎日の生活を犠牲にする必要は全くありません。
家づくりで間取りを考えている時に、もしお客さんのことが頭に浮かんだ時はこれを思い出してください。
"お客さんを気遣った間取りを考える必要は全くありません!!"
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