その勝手口ホントに必要?勝手口の歴史から見る現代住宅の間取りの可能性!!

間取りのこと

あなたの家には勝手口はついているでしょうか?
今の時代、新築住宅を建てる時に勝手口をつけない人も多いですよね。
ある設計士さんの話によると間取りを検討するとき、実に半分ぐらいの人が勝手口をつけないそうです。

そもそも勝手口って何のために必要なんでしょう。
今回は勝手口の歴史を見ながら、その必要性について検討していきたいと思います。

・マイホームに勝手口をつけるかどうか悩んでいるそこのアナタ!!
・何となくプランに入っていたので勝手口をつけようとしているそこのアナタ!!

この記事を読んで頂ければ勝手口が必要かどうか”あなたなりの答え”を導き出すことができるようになるハズです。

たかがドア1枚、されどドア1枚。
そこには十分時間をかけて悩む価値があると思います。

気合の入った記事なのでちょっと文章が長くなってしまいましたが、お時間のある時にでも最後まで読んでもらえたら嬉しいです。

それではいきましょう!

まず初めに結論です。

勝手口は、「なくせるなら無くした方がいい」と僕は考えています。

我が家には勝手口がありません。
間取りを検討している時つけるかどうかで悩んだんですが、結局つけないことにしました。

この記事を書いている時点で住み始めてから1年半が経ちましたが、今まで勝手口が無くて困ったことは一度もありません。
個人的にはつけなくてもまったく後悔はありませんでした。

・じゃあ勝手口は不要ということか?
・全ての人に勝手口が不要か?

というと実はそうでもありません。

我が家の場合は勝手口をなくすことで結果的に理想的な間取りを実現することが出来ましたが、人によっては”勝手口は絶対に必要!!”という人もいると思います。

勝手口が必要かどうかはケースバイケース。

僕自身、自分の家の間取りを考えるときに色んな人のブログ記事などを読みましたが、どなたも同じような内容を書かれていました。
これについては僕も同意見ですし、勝手口があったほうがいい人、なくてもいい人どちらも正解だと思っています。

でも今回僕がお伝えしたいのは単に「勝手口が必要かどうか?」という事だけではありません。
”結局どっちがいいかは人ぞれぞれ”なんてあいまいな結論で終わらせず、もう一歩進んだ先にある可能性を検討してみましょう!

今までの常識に囚われないことで見えてくることもあります。
それは、

”勝手口をなくすことで間取り検討の自由度がはるかに増す!”
という事。

昔の家と現代の家はその間取りの考えかたも作りかたも全く別物です。
昔には昔の、現代には現代の理想的な間取りがあります。
・もしあなたが勝手口をつけるかどうかで悩んでいるとしたら。
・もしあなたが何も考えず提案されるがままに勝手口をつけようとしているとしたら。

その勝手口を思い切って無くすことで、間取りプランの可能性が広がるかもしれません。
それでは、ここから先は勝手口の歴史をみながらその必要性について見ていきたいと思います。

そもそも勝手口って何のためにあった?

昔ながらの日本家屋には大抵ついている勝手口。
勝手(台所)口(出入り口)という名前からも、台所(キッチン)についているのが一般的でした。

この勝手口って何のためにあるんでしょうか。

・そもそも昔、勝手口が何のために必要だったか?
・それは今の時代でも必要なものなのか?

こう考えていけばその必要性が見えてきます。

色々調べた結果、要約すると以下のような理由がありました。
・ゴミ出し
・洗濯物干し
・お風呂用や暖房用の灯油の搬入
・外でお風呂用の薪を炊くため
・来客時など、家の人が人目につかず出入りできる
・三河屋さんの御用聞き(サザエさんに出てくるアレです)

昔の日本家屋は基本的に平屋でした。
そして無駄に広かった。
また、お風呂を沸かしたり調味料などの食材を定期的に宅配してくれる三河屋さんとのやり取りなど、日常的に「外」とつながる必要があったんです。

そんな時に毎回家の反対側にある遠い玄関をまわって外に出て。。。
そりゃ台所から直接出たくもなります。

そうだ出入り口(勝手口)作ろう!となるわけです。

それに昔は今以上に来客者に対する世間体や見栄を重要視する風潮もありました。
・生活臭のするやり取りは家の裏側でコッソリ行う!
・何なら家族の出入りは勝手口がメイン。
・玄関は来客者を出向かえるところ。

といった背景からも玄関以外に人が出入りすることのできる勝手口が当たり前のように普及していたんですね。

思い返してみれば僕が子供の頃も、普段は勝手口から出入りしていました。
両親が勝手口から灯油の配達とかのやり取りをしていた記憶も何となくあります。

令和のこの時代に勝手口はナンセンス??

昔の人々の生活を家の裏側で支えてきた勝手口ですが、現代には必ずしもフィットしていない側面もあります。

今は「昭和」から「平成」を超えて「令和」の時代です。
昭和の頃に比べて皆さんの生活スタイルも大きく変化していますよね。

調味料やお酒なんかは配達じゃなく、スーパーで小分けにされた物を買うことが出来ます。
なんなら、ネットで買って家まで配達してくれる時代です。
そこに三河屋のサブちゃんとの人間同士対面で話すやり取りは存在しません。
(調味料って、昔は三河屋さんなどから量り売りで買っていたらしいですね。)

というか、共働きだと日中は家に誰もいません。
今は女性がいつも家にいる時代ではないです。

ので、三河屋さん的な人が訪ねてきても意味がありません。
いつまでたっても家の味噌が補充されませんっ!!!!

お風呂をわかすのに外で薪をたく必要もなく、今ではボタン一つでお湯はりも完了します。
そして現代は住宅自体がコンパクト化していることもあり、キッチンから玄関までの距離もさほど遠くありません。
来客対応にしろゴミ出しにしろ、何かしら外に行く用事があったとしても勝手口でも玄関でもそれほどの差はないんです。

この”距離のストレス”が大きく減っていることも勝手口が無くなってきている大きな理由なんじゃないかと思います。

勝手口ありから無しの時代へ。
今はその移行期であるとも言えます。

勝手口のメリットは?

時代の変化とともに生活スタイルも変化し、勝手口の存在意義は薄れてきました。

しかしながら今のこの時代でも勝手口を採用しているご家庭もかなりの数存在しています。
採用するという事はメリットがあると感じているから。

ここではそのメリットを4つ紹介します!

①屋外にゴミを保管する
②駐車場からの出入りがラク
③災害時の非常口
④キッチンの採光と換気ができる

ザっと調べてみただけで上記のようなメリットがありました。

【①屋外にゴミを保管する】
生ゴミなどの臭いがきついゴミや資源ごみを屋外に保管する人、結構いますよね。
ゴミが一番多くでる場所はキッチンなので、そんな時キッチンからサッと外に出てゴミ捨てができれば超便利!

【②駐車場からの出入りがラク】
土地と間取りの関係で、車を降りてから玄関に向かうより勝手口から出入りした方が近い人もいます。
玄関は完全来客用と割り切って日常は勝手口から出入りするパターン。
僕の実家もそうでした。
車を降りてすぐキッチンに入ることができるので、買い物したものなんかを冷蔵庫に運ぶのもラクですよね!
ビルトインガレージがある家の人なんかは必須ともいえるでしょう。

【③災害時の非常口】
近年は地震や火災など災害時の備えがとても注目されています。
万が一の有事の際、玄関から出られなくなっても勝手口があれば脱出できるかもしれません。
命には代えられませんので、勝手口があった方がいいという人もいるでしょう。

【④キッチンの採光と換気ができる】
薄暗いキッチンって嫌ですよね。
料理をするときは明るいさわやかな空間でのびのびと作業をしたいもんです!
またキッチンは料理をするので色んな臭いが気になる場所でもあります。
サッと窓を開けて換気できればGoodですよね!

他にも色々あると思いますが、勝手口をつける人の理由の多くが上記4つに当てはまるのではないでしょうか。

勝手口のデメリットは?

勝手口をつけることで一定のメリットはありますが、反対にデメリットも存在します。
7つ紹介しましょう!

①屋外のゴミ捨て場を整備する必要がある
②ゴミを外に保管するとゴキブリなどの害虫が寄ってくる
③防犯性能の低下
④気密断熱性能の低下
⑤勝手口のスペースが必要で間取りに制限が生まれる
⑥余分な費用がかかる
⑦虫の侵入経路が増える

【①屋外のゴミ捨て場を整備する必要がある】
生ゴミにしろ資源ゴミにしろ、屋外にそのまま置いておく訳にはいきません。
風雨をしのげる屋根や屋外用のゴミ箱を置いてやる必要があります。
外に置いている物は室内とは比べ物にならないスピードで汚れていくので、
ゴミ捨て場の掃除(メンテナンス)も定期的にしなくてはいけません。

【②ゴミを外に保管するとゴキブリなどの害虫が寄ってくる】
屋外にはいろんな生物がはびこっています。
ゴミ捨て場が清潔でないともちろん寄ってきますよね、ゴキブリ。
野良犬やカラスが荒らしていくこともあるでしょう。
犬の嗅覚は人間の100万倍以上です!かなり厳重に密閉しないとそこにエサがあるとバレます(笑)
結局匂いが出ないよう密閉するのであれば、別に室内保管でもいいんじゃないかと思います。

【③防犯性能の低下】
勝手口があるだけで防犯性能はかなり落ちます。
勝手口は人が出入りするためのものなので、鍵を壊せば開くしガラスを割れば普通に入れます。
また、純粋に鍵の閉め忘れなどのリスクも格段に上がるでしょう!

特に住み始めたころは要注意!
慣れないうちはホントにカギを閉め忘れる事って意外とあります。
僕の知り合いでも鍵の閉め忘れで空き巣に入られた人が2人もいるぐらいです。

それにいくら防犯性能が上がった現代の勝手口とはいえ、所詮はガラスとアルミフレームの物体。
本気で壊そうと思えば家の外壁に穴を開けて侵入するよりは簡単です。
勝手口が無ければそこにあるのは簡単には破壊不可能な家本体の外壁。
勝手口が無いことで空き巣などのリスクはかなり下がるでしょう。

【④気密断熱性能の低下】
勝手口があることで気密断熱性は確実に低下します。
そこに開閉可能な窓があるので当然ですよね。
どんなに頑張ってもガラスはガラス。
その性能は断熱材や外壁には遠く及びません。

あったかく過ごしたい冬にキッチンが寒かったり、逆に涼しく過ごしたい夏場に暑かったりすると嫌じゃないですか?
キッチンは料理や洗い物で長時間過ごす場所なので、この快適指数の低下は見逃せませんよ!!

【⑤勝手口のスペースが必要で間取りに制限が生まれる】
勝手口があるという事は、人が通り抜けるための空間を確保する必要があります。
また、室内側に土間(内土間)を設置したり、思いのほかスペースを必要とするものです。
限られた室内の空間を土間が占有するって結構もったいないと思いませんか?

勝手口に内土間をつける場合、使い勝手を考えると広さは最低でも80×50cm(0.4㎡)ぐらいは必要になります。
1坪は3.3㎡ぐらいなので、家本体の坪単価が50万円とすると勝手口の内土間を作るために実に6万円ものお金をかけることになるんです。
しかも段差が多いので若いうちはいいですが歳を取ると使いにくいし危ないこと間違いなしです。

【⑥余分な費用がかかる】
勝手口があるだけでこんなにも余分なお金がかかります。
選ぶ商品、施工する業者によって値段はピンキリですが、大体の金額を出してみましょう。

・勝手口本体ドア(グレードにもよりますが3~15万円程度)
・室内の土間や犬走り(土間は上記⑤より6万円、犬走りは3~6万円程度)
・雨に濡れないための屋根やサービスヤード(屋根は2~5円、サービスヤードだと十数万円)
・ごみ置き場の整備(簡易的なゴミ箱数千円~屋外用ゴミステーション数万円まで)

ざっと計算しても15万円~50万円程度のお金は余分にかかります。
勝手口をつけることでその金額に見合うだけのメリットがあなたにあるでしょうか?

【⑦虫の侵入経路が増える】
個人的にはこの理由を全力で押したい!
勝手口はドアなので開け閉めすると虫が入ります。

キッチンで作業するのって、主に夜じゃないですか?
夜ご飯を作るときに出た生ごみをそのまま勝手口からポイっと捨てたりしますよね?

夜は電気をつけます。
もちろん外は暗いです。

虫は少なからずあかりに引き寄せられてくるので、
ドア近くにウジャウジャ張り付いてひしめき合っています。

そしてあなたがゴミ捨てなどでちょっとドアを開けた瞬間!!
「お!開いたぞウホーイ!!行けオラー!!」
と侵入してくるわけです。

ドアを開けずに通風のために網戸にしてても、網目を通り抜けてくるちっちゃい奴もいます。
例えコバエ一匹でも、家の中に虫がいると気になりますよね。
虫って意外とストレスなんです。

個人的には虫が超キライなので、侵入経路になる勝手口はホントつけなくて正解でした。
最近はゼロエネルギー住宅(ZEH)なんてのがスタンダードになってきていますが、僕はもう一つ目指したいものがあります。
それがゼロ虫住宅(ZBH:Zero bugs house)。
人様の暮らす室内居住区に奴らを入れるわけにはいきませんよね!!
リビングで虫と仲良く共存したい人なんていないでしょう。
ZBHを実現して快適なマイホーム生活を満喫しましょう(笑)

このように数々のデメリットがある勝手口。
個人的には、メリットに対してデメリットが多すぎるんじゃないかと思います。

それでも勝手口つけたい!!という熱いアナタに贈る

メリットに対してデメリットが多い勝手口。
昔と違い現代の住宅では必要性が薄れてきている勝手口。

「それでも!それでもどうしても必要なんだ!!勝手口がないと毎日の生活がストレスになるんだ!!」
という人もいるでしょう。

ここでは勝手口をつけた方がいいケースと、付ける場合のポイントを最後にまとめておきたいと思います。

【勝手口をつけた方がいいケース】
・勝手口を出た先で日常的に何かをしたい場合。
 ちょっと抽象的な言い方ですが、例えばどうしてもゴミを屋外に保管しておきたいとか。
 ビルトインガレージがあってガレージへの出入りを頻繁に行うとか。
 家の裏に畑があって毎日何回も行き来するとか。

・駐車場が玄関から遠く、駐車場側にもう一つ入り口が欲しい場合
 土地の形状と間取りの関係でどうしても玄関近くに駐車場を作れない人もいると思います。
 そんな時、車を降りてすぐ勝手口があれば便利だと思います。
 (それでも個人的には、勝手口をなくせる間取りを頑張って考えてもらいたいと思うところですが・・・)

【勝手口をつける場合のポイント】
・室内側には土間をつけましょう
 外にサンダルなどを置いておくと絶対汚れます。
 次第に履かなくなって気付いたら勝手口自体使わなくなっているかもしれません。
 また、室内に土間があると汚れ物を一時的に置いておくこともできます。
 わざわざ虫が侵入しやすい夜にゴミを捨てに行かなくても、一晩土間に置いておいて翌朝捨てればいいんです。

・外に犬走りや屋根は付けましょう。
 家のフロアレベルって思ったより高いです。
 勝手口を開けて地面までの距離が高いとスッゲー使いにくいです。
 室内は土間で少し下げ、外は犬走りで少し上げてやると段差が小さくなるのでおススメ。
 犬走りは気持ち広めに作っておいた方が使いやすいです。

 また、屋根があると多少の雨風はしのげます。
 できればサービスヤードなどをつけて、ちょっとした物置や駐輪場を兼ねてしまうのがGoodです!

まとめ

今回は勝手口の歴史的背景も踏まえて、その必要性となくした場合の間取りの可能性について検討してきました。

条件がそろえば便利な一面もある勝手口ですが、デメリットの方が多すぎて本質的にはムダな設備だと僕は思います。

現代住宅のキーワードは”回遊”。
回遊動線を実現するためには間取りの中から「行き止まり」を排除する必要があり、勝手口はその大きな障害となり得ます。

勝手口があることで住宅の気密断熱性能は低下しますし、無駄なお金もかかります。
また、室内土間や行き止まりの空間が生まれることで居室スペースを圧迫し、間取りの自由度も大きく下がってしまいます。

予算を気にせず好き放題大きい間取りを考えることができる場合は良いですが、多くの人は限られた予算内で最小限かつ使い勝手のいい家を建てたいと考えているはず。

・どうしても勝手口が欲しい!
・生活スタイル上、勝手口がないと困る!
という人以外は付けない方がいいんじゃないかと思います。

現代住宅はとにかく機能性とコスパ重視の傾向にあります。
無いほうが確実に家の快適性能はUPします。

ゴミステーション、駐車場など総合的に見てどうしても勝手口が必要!となる人以外は、勝手口をなくしたうまい間取りを何とか考えて頂きたいところ。

勝手口があることで数々のデメリットがあります。
かといって、デメリットを打ち消すほどのメリットがあるとも思えません。

ストレスを感じるポイントは人それぞれなので結局は個人の好みになりますが、その勝手口が本当に必要かどうか?
もう一度考えてみては、いかがでしょうか?

とん吉
とん吉

最後まで読んで頂きありがとうございます!!

色んな方のリアルな体験談が読めておもしろいので、ぜひ覗いてみてください。

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